聞き手/杉山 俊幸(日経BP 総合研究所 主席研究員)

太陽光発電の「非FIT」化を見越し、法人向けへかじを切る。イオンモールやパナソニック系企業との契約もまとまり、低圧分野を重視する戦略を打ち出す。

コーポレートビジョンに「分散型太陽光発電による脱炭素ソリューション提供のリーディングカンパニーを達成」を掲げています。

岸田 光司(きしだ・みつし)
岸田 光司(きしだ・みつし)
エコスタイル 執行役員経営戦略推進部長
大阪府出身。1989年慶応義塾大学卒。リクルート、飲食店の経営を経て2015年にエコスタイル入社、22 年より現職(写真:太田 未来子)

岸田 光司 氏(以下、敬称略) エコスタイルは小規模・低圧の太陽光発電所を中心に、全国約1万4000カ所で開発を進めてきた会社です。もともとは再生可能エネルギー発電の固定価格買取制度(FIT)に基づいて、個人投資家向けに太陽光発電所を設けて電力を販売してきました。その後、「非FIT」が主流になる時代を見据えて、法人向けに太陽光発電を広く普及させるべく、経営のかじを大きく切ったところです。

 法人向けサービスとしては、顧客企業の施設内に太陽光発電システムを設けるオンサイト電源開発事業と、店舗や工場など実際に電気を使う場所から離れたところに発電システムを設けるオフサイト電源開発事業を手がけています。

 オフサイトの中でも、需要者が持つ太陽光発電システムと、自社工場や店舗を、電力会社など一般送配電事業者の電力ネットワークを介してつなぐ、「自己託送」と呼ばれる仕組みへの期待が高まっています。この仕組みを使ったオフサイトコーポレートPPA(電力購入契約)に、当社は注力してきているところです。

 日本国内ではメガソーラーのような大規模な太陽光発電設備を造るのに適した土地が少なくなってきているため、小規模で低圧の発電所を全国各地で開発していくことが必要になると考えています。

 低圧の太陽光発電所に特化してきた当社はその技術力とノウハウを生かして、カーボンニュートラルの実現に向けて日本全国に太陽光発電所を開設していくリーディングカンパニーになろうというビジョンを持っています。

■ エコスタイルの太陽光発電事業の戦略
■ エコスタイルの太陽光発電事業の戦略
固定価格買取制度(FIT)に基づく個人投資家向け太陽光発電所開発事業から方針を転換、「非FIT」主流の時代を見据えて法人向け発電所開発を推進
(出所:エコスタイル)
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「ペロブスカイト」普及に期待

太陽光発電事業における課題は何ですか。一方で、どんなポテンシャル(潜在可能性)があるのでしょうか。

岸田 当社の太陽光発電所は、いわゆる「野立て」という地面設置がほとんどです。今後の課題としては、農地転用が大きな課題になると考えています。第1種農地であれば「ソーラーシェアリング」という形式で営農を続けながら太陽光発電を進めることが認められています。

 しかし、後継者がいないなどで耕作放棄地となった第1種農地は太陽光発電に転用ができないという課題も発生しています。今後、それらを解決する政策が出てくれば、太陽光発電がさらに普及できるのではないかと思っています。