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気候変動の問題と対策とは?地球温暖化対策推進法(温対法)についても解説!

温対法対策

最近、気候変動問題(地球温暖化問題)についてのニュースを、よくテレビなどで目にしませんか?
「なんとなく深刻なのは知っているけど、自分には関係ない。」
「企業レベルや個人レベルでできることは少ない。」
なかにはこんな風に思っている方も多いかもしれませんが、実は企業や個人レベルで行えることはたくさんあります。

  • 気候変動(地球温暖化)問題の現状と課題の確認
  • 世界における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み
  • 日本における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み

この記事では、この3つに焦点を絞り分かりやすく解説していきます。

気候変動問題の現状と課題とは?

CO2排出量削減

気候変動は、広くいえば天気の状態や気温、降雨量や風など、地球上の大気の状態が変化する現象のことを指します。ただし、とりわけ環境問題に関する際に「気候変動」という言葉を使う場合は、「地球温暖化」のことを指している場合が多いでしょう。

気候変動問題=地球温暖化問題

現在、地球全体で気候の変動が問題になっているのは、この「地球温暖化」があるためです。「地球温暖化」とは、地球の平均気温が上昇することでもたらされる現象や、それによって影響をうける生活や自然環境を指します。
地球の平均気温が変化することで地球上の自然環境は大きく影響を受けます。近年、日本や世界で多発している猛暑や巨大台風・ハリケーンも、地球温暖化が原因という意見もあります。

地球温暖化がもたらすさまざまな問題・リスク

地球温暖化が進むことによって、地球環境や私たちの生活にどのような影響や変化があるのかみてみましょう。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書で、気候変動(地球温暖化)によって以下のリスクがあると指摘されています。

  • 水資源への影響(水量や水質)
  • 海水面の上昇による沿岸での高潮被害リスク
  • 大都市部への大雨などによる洪水・水没リスク
  • 異常気象(巨大台風や大雨など)によるインフラなどの機能停止
  • 陸域、淡水、海洋生物の生息域の変化など
  • 空調のない都市部などで、熱波(異常な猛暑)による死亡や疾病リスク
  • 海水温の上昇によるサンゴの死滅や、海洋生態系の損失リスク
  • 農作物への影響
  • 水資源(灌漑用水や飲用水)不足と農業生産量の減少により、農家の収益が減少するリスク
  • 気温上昇や干ばつなどによって食糧不足に陥るリスク
  • 生態系サービスの損失(森林植物や野生動物の分布の変化)による農作物への被害リスク

参考資料:環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)等について」

また、1986~2005年の世界の平均気温を基準とした気温の上昇具合によって、以下の具体的なリスクも懸念されています。

  • 平均気温の上昇温度で懸念されるリスク
  • 1℃未満:異常気象の増加リスク
  • 2℃未満: サンゴ礁の死滅や北極の氷河の一部溶解、熱帯の感染症(マラリアなど)の拡大
  • 2℃:作物の生産量が局所的に減少
  • 2℃以上3℃未満:飲用水や灌漑用水に利用可能な水資源の減少
  • 3℃: 世界中の広範囲で生物の絶滅が発生する
  • 3.5℃: 北極の氷河がすべて溶け、海面水位が上昇する
  • 4℃: 地球上の多くの生物が絶滅の危機を迎える、世界中で食糧生産が困難となり食糧不足が発生する
参考資料:WWFジャパン「地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?」

地球温暖化の原因は温室効果ガス

こうした地球温暖化の原因は「温室効果ガス」といわれています。温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)やメタン、一酸化二窒素、フロンガスなどの種類があります。
なかでも、影響を及ぼしているとされるのが二酸化炭素(CO2)で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書によると、実に二酸化炭素の影響が全体の76.7%にも上っています。大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命が起こってからというもの、石油・石炭といった化石燃料の燃焼により著しく増加しました。
その結果、現在のような地球温暖化問題として、私たち人類全体に重い課題としてのしかかっているのです。

世界における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み

CO2排出量削減

地球の気候変動(地球温暖化)問題に対して、世界の国々ではどういった対策をしているのでしょうか。
ここからは、世界における気候変動(地球温暖化)対策の取り組みについてみていきましょう。

気候変動枠組条約締約国会議(COP)

気候変動枠組条約締約国会議(COP)とは、後で紹介する「気候変動枠組条約」という国際的な温暖化防止条約に加盟する国々によって行われる国連会議です。気候変動枠組条約で合意した「大気中の温室効果ガス濃度を安定化させる」という目標の前進のために、締約国会議(COP)は毎年開催されており、2019年で25回目を迎えています。
気候変動枠組条約締約国会議(COP)は国際的な気候変動(地球温暖化)対策として重要な「京都議定書」や「パリ協定」を採択するという成果を残しており、世界の国々が一致団結して地球温暖化に対して取り組みを行ううえで非常に重要な国連会議になっています。

気候変動枠組条約(UNFCCC)

気候変動枠組条約は、「温暖化防止のため大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を究極の目的とした国際的な環境条約で、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催されたUNCED(環境と開発に関する国際連合会議)で採択され、1994年に発効されました。
正式名称を「気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」といい、英語の頭文字をとって「UNFCCC」とも呼ばれています。
現時点で197カ国が締結している気候変動枠組条約(UNFCCC)ですが、実は枠組みを規定しているだけで、具体的な温室効果ガスの削減目標までは定めていません。そういった部分を話し合うために先程も解説した締約国会議(COP)が開かれるようになり、次で解説する京都議定書やパリ協定に発展していきました。

京都議定書とパリ協定

京都議定書とパリ協定は、世界の気候変動(地球温暖化)対策の取り組みを語るうえで重要な存在といえます。

● 京都議定書

まず京都議定書ですが、先程ご紹介した気候変動枠組条約では定められていなかった温室効果ガスの削減目標
を具体的に数値化する形で、1997年に京都で開催されたCOP3において採択されました。
京都議定書の中身ですが、「2008年~2012年における二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量を、先進国全体で最低-5%を目指す(1990年比)」というものでした。この京都議定書によって、欧州連合15カ国-8%、米国-7%、日本・ハンガリー・ポーランド-6%、といった具合で国ごとに法的拘束力をもった削減目標が割り当てられることになりました。
しかしながら、当時の世界最大の排出国だったアメリカが、中国など発展途上国への排出量削減義務が課されていないことなどを理由に、京都議定書から離脱してしまいます。結果的に、192カ国の国々によって京都議定書は締結されました。

● パリ協定

パリ協定は、京都議定書をさらに進める形で締結された協定で、2015年のCOP21にて採択されました。パリ協定の最大の目的は、以下の2つです。
○ 世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して「2℃未満」に抑えること(2℃目標)。
○ さらに、世界の平均気温上昇を「1.5℃未満」に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)。
また、パリ協定では上記の「2℃目標」および「1.5℃目標」を達成するために、加盟している各国が自主的な削減目標を作成し、その削減目標の達成のために国内で対策を行うことを義務付けています。

参考までに、2030年までの各国のCO2削減目標の一部を以下に示します。
○ 中国:GDP当たりのCO2排出量を「60~65%」削減する(2005年比)。
○ EU:温室効果ガス排出量を「最低でも40%」削減する(1990年比)。
○ カナダ:温室効果ガス排出量を「30%」削減する(2005年比)。
○ オーストラリア:温室効果ガス排出量を「6~28%」削減する(2005年比)。
○ 日本:温室効果ガス排出量を「26%」削減する(2013年比)。

● 京都議定書とパリ協定の違い

先進国に対して温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書に対し、パリ協定は発展途上国も含めたすべての国が参加する枠組みとなっています。また、京都議定書には参加しなかったアメリカが、パリ協定には参加しているという点も重要な違いといえるでしょう。しかし、2016年にドナルド・トランプ大統領が就任すると、パリ協定を離脱する意向を表明し、2019年11月に正式な離脱表明を行いました。
このことからも、気候変動(地球温暖化)対策に対する世界の国々の足並みは、まだ十分にそろっているとはいえないのが現状です。

世界中で広がりを見せるSDGs(持続可能な開発目標)

上記で挙げた京都議定書やパリ協定といった国際条約とは別に、2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標として「SDGs(持続可能な開発目標)」があります。
SDGsは、多様性を大切にし「誰一人取り残さない」持続可能な社会を実現することを目的としており、17の目標と169のターゲット、232の指標が決められています。その13番目の目標には、「気候変動に具体的な対策を」として、地球温暖化に対する対策も盛り込まれています。
SDGsは、国だけでなく企業などの民間団体が主体となって取り組んでいくことも、大きな特徴の1つです。実際に、世界の環境先進国では、企業や団体が主体となってSDGsに関するさまざまな取り組みが行われています。

中国やインドなどの新興国では、地球温暖化対策として再生可能エネルギーの導入が進んでいます。株式会社資源総合システムの調査によると、2016年~2018年にかけて太陽光発電の年間導入量1位は中国です。

● 中国の太陽光発電導入量
○ 2016年:34.55GW
○ 2017年:53.07GW
○ 2018年:44GW

なお、新興国であるインドも、2017年には日本の太陽光発電の年間導入量を追い抜き、世界第3位となっています。火力発電に比べて二酸化炭素排出量が少ない太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーは、今後ますます世界中で導入が進んでいくと予想されています。

日本における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み

CO2排出量削減

続いて、日本における気候変動(地球温暖化)対策の取り組みをみていきましょう。

COPで「化石賞」に選ばれた日本

先程ご紹介した気候変動枠組条約締約国会議(COP)に参加しているNGOネットワーク「CAN(気候変動アクション・ネットワーク)」が、地球温暖化対策に消極的とみなされた国に対し「化石賞」を贈っています。
2019年12月2日から13日にスペイン・マドリードで開かれたCOP25において、日本はこの不名誉な「化石賞」を受賞してしまいました。(化石賞はCOPの会期中、毎日選定されて発表されているため、日本以外の国も選ばれています)
受賞の理由としては、石炭火力発電を今後どうしていくのかについての言及がなかったことや、国際社会が求めている脱石炭化(再生可能エネルギーなどへの方向転換)や温室効果ガスの削減目標を引き上げる意思を示さなかったことなどが挙げられています。
こうした中、今世紀後半のできるだけ早い時期に「脱炭素社会」を実現することを目標としている日本では、さらなるイノベーションや再生可能エネルギーへの転換を進めていく必要があります。

地球温暖化対策推進法(温対法)でCO2排出量を削減

「化石賞」に選ばれてしまった日本ですが、気候変動(地球温暖化)の問題に対して何も行っていないという訳ではありません。日本で地球温暖化対策として、「地球温暖化対策推進法(通称:温対法)」という法律を作り、地球温暖化防止に取り組んでいます。(正式名称は「地球温暖化対策の推進に関する法律」)
この温対法によって「特定排出者」に認定された事業所・事業者は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を算出し、国へ報告する義務が生じます。温対法が定めた排出量の報告や虚偽の報告を行った場合、20万円以下の罰金が発生します。
温対法に則って取り決めた自社の温室効果ガス削減目標に届かない場合は、「J-クレジット」という温室効果ガスの削減量を取引する制度も設けられています。

日本企業にも自家消費型太陽光発電の導入が拡大中

地球温暖化を防止するための世界の動きは、日本にも確実に影響を与え始めています。たとえば、環境・社会・ガバナンスを重視する会社に対して積極的な投資を行う「ESG投資」は、企業にとってはビジネスを考えるうえでも重要なポイントになってきています。

またそれ以外にも、エコアクション21やISO14001など、環境へ配慮した経営が日本企業に対しても求められていることは事実です。こういった環境経営への取り組みは、大企業だけではなく中小企業にも求められており、その1つの手段として「自家消費型太陽光発電」という選択肢があります。
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自社で消費する形態の太陽光発電のことで、工場の屋根などに取り付けて発電を行い、電力会社からの電気購入量を減らす企業が増えています。こういった企業ごとの取り組みも、国がパリ協定で定めた温室効果ガスの削減目標(2013年比で26%削減)を達成するために重要な要素のひとつです。
また、それだけではなく、企業側にも電気料金の削減や、「環境経営に取り組んでいる企業」として企業イメージがアップするといったメリットもあります。

まとめ

この記事では、気候変動問題(地球温暖化問題)の現状と課題を確認するとともに、世界や日本で行われている地球温暖化対策について紹介してきました。
総括すると、気候変動(地球温暖化)は今もなお進行し続けている状態にあり、かなり深刻な状態になりつつあると世界は受け止め始めています。それに対し、各国の足並みは決してそろっているとはいえず、対策も後手になってしまっている印象を受けます。
こうした状況のなかで、今もなお化石燃料に依存している日本では、再生可能エネルギーへの大胆な方向転換が、国際的にも期待されています。
また、中国などの新興国でも、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が目覚ましい勢いで進んでおり、再生可能エネルギーが地球温暖化を防ぐ要となりつつあります。
まずは、企業活動において発生するCO2排出量削減のために「自家消費型太陽光発電」の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。