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デマンドコントロールとは?太陽光発電を活用して電気基本料金を削減

デマンドコントロールという言葉を、皆さんはご存知ですか?
デマンドコントロールが上手になれば、月々の電気基本料金の削減に役立ちます。

工場やオフィスの電気代を少しでも安くしたい方は、必ず身に着けておきたい知識のひとつ。
「意味がよくわからない」「具体策を知りたい」という方も、ぜひ参考にしてください。

太陽光発電を活用することで、さらにデマンドコントロール上手になれるかもしれません。

デマンドコントロールとは?

デマンドコントロールとは?

まず、「デマンドコントロール」の意味からおさらいしてみましょう。

デマンドとは、一般的に「需要」という意味で使われますが、
ここでは「30分間の平均使用電力」のことを指します。

業務用や高圧電力など電力会社とデマンド契約を結んでいる場合には、
30分ごとに「デマンド値」と呼ばれる使用量が計測されています。

1日あたり48回でデマンド値がチェックされており、
このデマンド値をもとに、月々の基本料金が設定されているのです。

電気代の計算方法は、「基本料金」+「電力量料金(使用電力)」。
このうち「基本料金」は、「単価×契約電力(最大デマンド)×力率割引」で計算できます。

「最大デマンド」とは、過去1年間のうち最も高いデマンド値を出した月の値を指します。

例えば、普段のデマンド値が200kWであるのに対し、
ある月のデマンド値が500kWと、いつもより300kWも上回ってしまったとします。

そうすると、この高くなった数値を元に基本料金が設定されてしまいます。
基本料金は、1年間変更されることがないので、
一度確定してしまうと節電しても大きな効果は得られません。

そこで、日頃からピークを抑えて、
できるだけ基本料金を削減するために行われるのが「デマンドコントロール」です。

(参考資料:東京電力エナジーパートナー「デマンドコントロールシステムのご紹介」)

【比較】デマンド監視とデマンドコントローラーどちらを選ぶ?

【比較】デマンド監視とデマンドコントローラーのどちらを選ぶ?

では、具体的にどうやってデマンドコントロールをするのでしょうか?
大きく2つの方法がよく挙げられます。

1つは【デマンド監視】をする方法で、
設定したデマンド値を超えないようにアラートを発するシステムを設置し、
監視者の手によって手動で制限をかける方法です。

もう1つは、【デマンドコントロールシステム】を活用する方法です。
これは、「デマンドコントローラー」と呼ばれる機器を使い、
デマンド値が規定値を超えようとしたときにアラートが発され、
コントローラーシステムが自動で空調や照明などに制限をかけてくれます。

ただし、この2つにはメリット・デメリットが存在しますので、
きちんと把握したうえで選ぶ必要があります。

【デマンド監視(手動)】のメリット・デメリット

デマンド監視のメリットは、デマンドコントローラーよりも導入価格が安いことです。

表示盤を設置すれば、誰でもオンタイムで状況が確認できるため、
従業員に対する節電の意識付けにも役立つでしょう。

ただし、監視者が必要になるため、手間が掛かる点がデメリットとして考えられます。
アラートが鳴ったときには、空調や照明などを人の手によって調整し、
コントロールしなければなりません。

人の手で制御することにより、電力会社がデマンドを計測する時間とずれが生じて、
うまくコントロールできないリスクも考えられます。

こういった手間暇が発生することを考えると、
細やかな管理ができる小規模な店舗やオフィス、工場などに向いている方法といえます。

コストに余裕があるならば、人感センサー付きの照明を取り入れるなど、
できるだけ手間の掛からない方法と組み合わせてみると、より高い効果が得られます。

【デマンドコントローラー(自動)】のメリット・デメリット

一方、デマンドコントローラーの場合、監視者がいらない分、
手間が掛からないため、大規模な施設や工場などに向いています。

大規模な施設になると、「高圧大口」「特別高圧」といった契約を電力会社と結ぶこととなり、
使用量のピークをあらかじめ決める必要があるからです。

もしこれを超過すると、契約超過金を取られることとなり、
超過分には通常よりも高い倍率の料金単価で計算されてしまいます。

そのため、30分単位できちんと計測・制御を行って、
デマンドコントロールすることが重要です。

ただし、設定値に達すると機器が突然切れて作業効率が落ちてしまったり、
商品の品質が落ちてしまったりといったリスクも考えられます。

とくに、真夏の暑い日に突然空調が止まってしまうと、
従業員からの苦情が出たり、体調不良になったりすることにもつながるでしょう。

また、予期せぬデマンド制御が掛かることで、機器の故障が増えるといったトラブルもあります。

そのため、デマンド制御をしやすい休憩室や食堂などから空調を切るように設定する、
ピークシフトを実施して室内環境の快適性を保てるようにする、といった工夫が必要です。

デマンドコントロールには太陽光発電と蓄電池が役立つ

上手にデマンドコントロールするために、太陽光発電と蓄電池を活用するのもおすすめです。

ピーク時には発電した電気を使って「ピークカット」を、
あるいは蓄電池に貯めた電気を活用して「ピークシフト」を行うことが可能です。

ピークカットとは、使用電力の多い時間帯に電力削減を行うこと。
それに対してピークシフトは、電気を使わない夜間などに蓄電池を充電し、
日中電気が必要となるときに溜まった電気を使用することで、
ピークを移行させることを指します。

前者は太陽光発電システムだけで可能ですが、
後者の場合には蓄電システムが必要となります。

先述したように、大規模なオフィスや工場などの場合には、
ピークシフトがデマンドコントロールの鍵となりますので、併用を検討してみるとよいでしょう。

いずれも初期投資費用は掛かりますが、購入する電力を減らせるので
節電面から見ても魅力の大きい方法といえます。

また、太陽光発電にはデマンドコントロール以外にもさまざまなメリットがあります。

太陽光発電にはほかにもこんなメリットが

太陽光発電といえば、「投資」のイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、売電単価も下がってきていることもあり、
自家消費、「作った電気をそのまま自社で使うこと」に向けた動きが活発となっています。

自家消費には以下のようなメリットがあります。

購入する電気を減らすことができる

太陽光発電システムを活用すれば、ピークカットが可能となります。
日中購入する電力を減らすことで、基本料金削減だけでなく、
日々の節電につながり、コスト面でのメリットもあります。

室内の温度上昇を抑える効果

屋根に太陽光パネルを載せる場合には、
室内の温度上昇を抑える効果があり、空調の効率が良くなります。

災害時の対策として役立つ

災害時や停電時にも、太陽光発電の機器が損傷を受けていない状態であれば、
機器を稼働させることができるため、BCP(事業継続計画)対策としても役立つでしょう。

東日本大震災以降、災害や異常気象に対する危機意識は高まっています。
緊急時のサービス停止を回避するためにも、蓄電池と合わせて取り入れておくのがおすすめです。

環境にやさしい設備

何より、太陽光発電はCO2をほとんど排出しない環境負荷の少ない電源ですので、
企業として環境問題に積極的に取り組んでいることをアピールできます。

工場の場合、工場立地法における「環境施設」として取り入れることも可能なため、検討してみるとよいでしょう。

太陽光発電を活用して上手にデマンドコントロールしよう

デマンドコントロールにはさまざまな方法がありますが、
それぞれメリット・デメリットがあります。
電気の基本料金をできるだけ削減するためにも、
太陽光発電設備を導入してみてはいかがでしょうか?

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。