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ピークカットとピークシフトの違いは?企業の電気代削減効果と導入方法

「ピークカット」や「ピークシフト」について、正しく理解できていますか?

「ピークカットとかピークシフトってよく聞くけれど、どのように違うの?」

「電気料金を削減するためにピークカットやピークシフトを導入したいけれど、どうやって導入すればいいの?」

この記事では、上記のようなピークカット・ピークシフトに関する疑問にお答えしていきます。

  • ピークカットとピークシフトの違い

  • ピークカットとピークシフトで電気料金を削減できるかどうか

  • 電気料金の決定方法・仕組み(最大デマンドの意味)

  • ピークカット・ピークシフトを自社施設で導入する方法

などについて、分かりやすく解説していきます。

ピークカットとピークシフトの違い

太陽光発電ピークカット

はじめに、ピークカットとピークシフトの違いについて解説していきます。

ピークカットとは?

ピークカットとは、電力の使用量が最も多い時間帯(ピーク時間帯)に、電力使用量(電力購入量)を「カット(削減)」することを指します。具体的には、ピーク時間帯に、太陽光発電でつくった電気を使用するなどの方法があります。

ピークカットを行うことで、電気料金の削減や、基本料金の削減につなげることが可能です。ピークカットを実施するための具体的な方法や、電気料金の削減につながる仕組みは、記事の後半でご紹介します。

ピークシフトとは?

ピークシフトとは、夜間など電力使用量の少ない時間帯に電力をためておき、電力使用量が最も多いピーク時間帯に使用することを指します。具体的には、蓄電池を使った方法などがあります。

ピーク時間帯の電力使用量を削減するため、ピークカットと似ていますが、ピークシフトでは全体の電力使用量に変化はなく、使用する電力量を「シフト(移動)」させて、全ての時間帯の電力使用量を均一化するイメージになります。

ピークカットとピークシフトの違いは「全体の電力使用量」

ピークカットとピークシフトの違いは、以下のように定義できます。

  • ピークカット……電力ピーク時の電力使用量を削減する(全体的な電力使用量が削減される)

  • ピークシフト……電力ピーク時の電力使用量を、電力使用量の少ない時間帯に移動させる(全体的な電力使用量は変わらない)

※「電力ピーク時」とは、電力を最も消費する時間帯のことを指します。

ピークカット・ピークシフトで電気料金が削減できる?

太陽光発電ピークカット

ここからは、ピークカットやピークシフトを活用することで、どのように電気料金の削減につながっていくのかを解説していきます。

そもそも電気料金はどのように決定される?

ピークカット・ピークシフトと電気料金の関係について理解するためには、そもそも電気料金がどのように決定されているかを知っておく必要があります。

電気料金は、一般的に以下の計算式で導き出すことができます。(基本的な従量電灯B・Cなどの場合)

  • 電気料金 = 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金 + 基本料金

電気量料金

電力量料金は、使用した電力量に応じてかかるもので、電力使用量が減れば、料金も下がります。「電力量料金単価×使用電力量±燃料費調整額」で表すことができます。

燃料費調整額は、電気をつくるのに必要な燃料費の変動を、電気代に反映させるための項目で、燃料費によって上下します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ発電賦課金)は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって、電力会社が再エネ電力の買い取りにかかった費用を、電気の利用者が負担するものです。

なお、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、以下の計算方法で算出されます。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(円/kWh)×1ヶ月の使用電力量(kWh)

「基本料金」とは?
基本料金は、「基本料金単価×契約容量(契約電力)」の計算式で表すことができます。契約電力は「最大デマンド」という値によって決定されます。

契約電力を左右する「最大デマンド(最大需要電力)」とは?

最大デマンド(最大需要電力)とは、もっとも多く電力を使用した30分間の、電力使用量を指します。

ここで重要なのは、契約電力は、過去1年間の最大デマンドのなかで最も大きい値に基づき決定されるということです。つまり、最大デマンド値がより高い数値に更新されるたびに、その後1年間の基本料金が値上がりしてしまうのです。反対に、1年間最大デマンド値を更新せずにいれば、基本料金が値下がりすることになります。

ピークカット・ピークシフトは基本料金の削減につながる

契約電力を左右する「最大デマンド(最大需要電力)」を下げるのに有効なのが、ピークカット・ピークシフトです。

ピークカットやピークシフトを導入することによって、ピーク時間帯の電力使用量を抑えられれば、30分ごとの「最大デマンド値」も抑えることができます。つまり、ピークカットもしくはピークシフトを1年間続け、契約電力を決める最大デマンド値が下がれば、基本料金の削減につながるのです。

ピークカットは電気量料金の削減につながる

ピークカットは、基本料金だけでなく電力使用量自体も減らすことができるため、電気量料金の削減につながります。こちらに関しては、ピークカットをはじめた翌月の電気料金から削減効果を見込むことができます。

ピークカット・ピークシフトを自社施設で導入する方法

太陽光発電ピークカット

ここからは、「ピークカット・ピークシフトを自社の施設で導入してみたい」と考えている方に向けて、具体的な導入方法を解説していきます。

自家消費型太陽光発電を活用したピークカットの方法

ピークカットを行うなら、自家消費型太陽光発電が適しています。自家消費型太陽光発電とは、自社工場や施設の屋根に太陽光発電を設置し、発電した電力を自社内の設備で使用するものを指します。

自家消費型太陽光発電を導入すれば、消費電力がピークを迎える時間帯に太陽光発電でつくった電気を使用できるので、「ピークカット」を行うことができます。

蓄電池を活用したピークシフトの方法

ピークシフトを行うには、蓄電池を活用した方法がおすすめです。蓄電池は、電気を大量にためておける電池のことで、ためた電気を放電することによって、電力を使用することができます。

蓄電池を使ってピークシフトを行う場合、電力使用量が少ない夜間などのタイミングで蓄電池に電気をためておき、ピーク時間帯に放電することで、ピーク時の電力使用量(電気購入量)を減らすことができます。

さらに、蓄電池とあわせて自家消費型太陽光発電を導入することで、ピークシフトとピークカットを同時におこなうことも可能となります。

ピークカット・ピークシフトまとめ

この記事では、「ピークカット・ピークシフトを利用して電気料金を下げたい」と思っている方にむけて、ピークカットとピークシフトそれぞれの意味や違い、なぜ電気料金の削減につながるのかなどを解説してきました。

改めて整理すると、

  • 電力ピーク時の電力使用量を削減するのが「ピークカット」(全体的な電力使用量が削減される)

  • 電力消費の時間帯を電力ピーク時から他の時間帯に移動させるのが「ピークシフト」(全体的な電力使用量は変わらない)

となります。自家消費型太陽光発電や蓄電池を導入し、ピークカットやピークシフトを的確に実行していくことで、電気量料金や基本料金の削減につなげていくことが可能となります。

「ピークカットやピークシフトを活用して電気料金を削減したい」と考えている経営者の方は、この機会に自家消費型太陽光発電や蓄電池の導入を検討してみてはいかがでしょうか。