ピークカットとピークシフトの違いは?企業の電気代削減効果と導入方法

「ピークカット」や「ピークシフト」について、正しく理解できていますか?

「ピークカットとかピークシフトってよく聞くけれど、どのように違うの?」

「電気料金を削減するためにピークカットやピークシフトを導入したいけれど、どうやって導入すればいいの?」

この記事では、上記のようなピークカット・ピークシフトに関する疑問にお答えしていきます。

  • ピークカットとピークシフトの違い

  • ピークカットとピークシフトで電気料金を削減できるかどうか

  • 電気料金の決定方法・仕組み(最大デマンドの意味)

  • ピークカット・ピークシフトを自社施設で導入する方法

などについて、分かりやすく解説していきます。

ピークカットとピークシフトの違い

太陽光発電ピークカット

はじめに、ピークカットとピークシフトの違いについて解説していきます。

ピークカットとは?

ピークカットとは、電力の使用量が最も多い時間帯(ピーク時間帯)に、電力使用量(電力購入量)を「カット(削減)」することを指します。具体的には、ピーク時間帯に、太陽光発電でつくった電気を使用するなどの方法があります。

ピークカットを行うことで、電気料金の削減や、基本料金の削減につなげることが可能です。ピークカットを実施するための具体的な方法や、電気料金の削減につながる仕組みは、記事の後半でご紹介します。

ピークシフトとは?

ピークシフトとは、夜間など電力使用量の少ない時間帯に電力をためておき、電力使用量が最も多いピーク時間帯に使用することを指します。具体的には、蓄電池を使った方法などがあります。

ピーク時間帯の電力使用量を削減するため、ピークカットと似ていますが、ピークシフトでは全体の電力使用量に変化はなく、使用する電力量を「シフト(移動)」させて、全ての時間帯の電力使用量を均一化するイメージになります。

ピークカットとピークシフトの違いは「全体の電力使用量」

ピークカットとピークシフトの違いは、以下のように定義できます。

  • ピークカット……電力ピーク時の電力使用量を削減する(全体的な電力使用量が削減される)

  • ピークシフト……電力ピーク時の電力使用量を、電力使用量の少ない時間帯に移動させる(全体的な電力使用量は変わらない)

※「電力ピーク時」とは、電力を最も消費する時間帯のことを指します。

ピークカット・ピークシフトで電気料金が削減できる?

太陽光発電ピークカット

ここからは、ピークカットやピークシフトを活用することで、どのように電気料金の削減につながっていくのかを解説していきます。

そもそも電気料金はどのように決定される?

ピークカット・ピークシフトと電気料金の関係について理解するためには、そもそも電気料金がどのように決定されているかを知っておく必要があります。

電気料金は、一般的に以下の計算式で導き出すことができます。(基本的な従量電灯B・Cなどの場合)

  • 電気料金 = 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金 + 基本料金

電気量料金

電力量料金は、使用した電力量に応じてかかるもので、電力使用量が減れば、料金も下がります。「電力量料金単価×使用電力量±燃料費調整額」で表すことができます。

燃料費調整額は、電気をつくるのに必要な燃料費の変動を、電気代に反映させるための項目で、燃料費によって上下します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ発電賦課金)は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって、電力会社が再エネ電力の買い取りにかかった費用を、電気の利用者が負担するものです。

なお、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、以下の計算方法で算出されます。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(円/kWh)×1ヶ月の使用電力量(kWh)

「基本料金」とは?
基本料金は、「基本料金単価×契約容量(契約電力)」の計算式で表すことができます。契約電力は「最大デマンド」という値によって決定されます。

契約電力を左右する「最大デマンド(最大需要電力)」とは?

最大デマンド(最大需要電力)とは、もっとも多く電力を使用した30分間の、電力使用量を指します。

ここで重要なのは、契約電力は、過去1年間の最大デマンドのなかで最も大きい値に基づき決定されるということです。つまり、最大デマンド値がより高い数値に更新されるたびに、その後1年間の基本料金が値上がりしてしまうのです。反対に、1年間最大デマンド値を更新せずにいれば、基本料金が値下がりすることになります。

ピークカット・ピークシフトは基本料金の削減につながる

契約電力を左右する「最大デマンド(最大需要電力)」を下げるのに有効なのが、ピークカット・ピークシフトです。

ピークカットやピークシフトを導入することによって、ピーク時間帯の電力使用量を抑えられれば、30分ごとの「最大デマンド値」も抑えることができます。つまり、ピークカットもしくはピークシフトを1年間続け、契約電力を決める最大デマンド値が下がれば、基本料金の削減につながるのです。

ピークカットは電気量料金の削減につながる

ピークカットは、基本料金だけでなく電力使用量自体も減らすことができるため、電気量料金の削減につながります。こちらに関しては、ピークカットをはじめた翌月の電気料金から削減効果を見込むことができます。

ピークカット・ピークシフトを自社施設で導入する方法

太陽光発電ピークカット

ここからは、「ピークカット・ピークシフトを自社の施設で導入してみたい」と考えている方に向けて、具体的な導入方法を解説していきます。

自家消費型太陽光発電を活用したピークカットの方法

ピークカットを行うなら、自家消費型太陽光発電が適しています。自家消費型太陽光発電とは、自社工場や施設の屋根に太陽光発電を設置し、発電した電力を自社内の設備で使用するものを指します。

自家消費型太陽光発電を導入すれば、消費電力がピークを迎える時間帯に太陽光発電でつくった電気を使用できるので、「ピークカット」を行うことができます。

蓄電池を活用したピークシフトの方法

ピークシフトを行うには、蓄電池を活用した方法がおすすめです。蓄電池は、電気を大量にためておける電池のことで、ためた電気を放電することによって、電力を使用することができます。

蓄電池を使ってピークシフトを行う場合、電力使用量が少ない夜間などのタイミングで蓄電池に電気をためておき、ピーク時間帯に放電することで、ピーク時の電力使用量(電気購入量)を減らすことができます。

さらに、蓄電池とあわせて自家消費型太陽光発電を導入することで、ピークシフトとピークカットを同時におこなうことも可能となります。

ピークカット・ピークシフトまとめ

この記事では、「ピークカット・ピークシフトを利用して電気料金を下げたい」と思っている方にむけて、ピークカットとピークシフトそれぞれの意味や違い、なぜ電気料金の削減につながるのかなどを解説してきました。

改めて整理すると、

  • 電力ピーク時の電力使用量を削減するのが「ピークカット」(全体的な電力使用量が削減される)

  • 電力消費の時間帯を電力ピーク時から他の時間帯に移動させるのが「ピークシフト」(全体的な電力使用量は変わらない)

となります。自家消費型太陽光発電や蓄電池を導入し、ピークカットやピークシフトを的確に実行していくことで、電気量料金や基本料金の削減につなげていくことが可能となります。

「ピークカットやピークシフトを活用して電気料金を削減したい」と考えている経営者の方は、この機会に自家消費型太陽光発電や蓄電池の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

自家発電を行うには?自家発電設備の種類や企業が導入するメリット

企業のBCP(事業継続計画)対策としても注目されている「自家発電設備」をご存知でしょうか?

「そもそも、自家発電ってなに?」

「企業が導入できる自家発電設備には何があるの? メリットは?」

自家発電設備について上記のような疑問をお持ちの方に向けて、この記事では

  • 自家発電設備の概要
  • 常用自家発電設備の種類
  • 企業が自家発電設備を導入するメリット
  • 自家発電設備としてオススメな「自家消費型太陽光発電」
  • 自家発電設備として「自家消費型太陽光発電」を導入する際の注意点

などについて、分かりやすくご紹介していきます。

自家発電設備とは?

「自家発電」とは、電気の消費者が発電設備を用いて自ら発電を行うことを指し、「自家発電設備」は、その設備を指します。自家発電設備によって発電した電気は、自家消費に充てる(売電せずに自身で消費する)のが一般的です。

自家発電設備は、設置目的や用途によって「常用自家発電設備」と「非常用自家発電設備」に区別されます。

常用自家発電設備とは

常用自家発電設備とは、電力会社からの電力供給の有無に関わらず、常に稼働状態にある自家発電設備です。種類については後ほど詳しくご紹介しますが、太陽光発電やガス発電(燃料電池システム)などが存在します。

非常用自家発電設備とは

非常用自家発電設備とは、停電などによって電力会社からの電力供給が途絶えた際に、予備電源として稼働させる自家発電設備のことです。非常時に、防災設備や保安設備に電気を供給する目的で設置されます。

常用自家発電設備の種類

ここでは、電力会社からの電力供給状況に関わらず常に稼働し続ける「常用自家発電設備」の種類について、詳しく見ていきましょう。

  • 太陽光発電

太陽光発電は、屋根などに設置したソーラーパネルを通じて、太陽光エネルギーを電力に変換することができる常用自家発電設備です。自家消費を目的とした太陽光発電は「自家消費型太陽光発電」と呼ばれ、家庭や企業に広く普及しています。

  • ガス発電(燃料電池システム)

ガス発電(燃料電池システム)とは、エネファームに代表される自家発電設備で、都市ガスやLPガスから抽出した水素と、空気にふくまれる酸素を化学反応させて発電をおこないます。

  • 風力発電装置

風力発電装置は、太陽光発電と同じ再生可能エネルギーの一種で、風力を活用して発電をおこなう常用自家発電設備です。風力発電と聞くと巨大なプロペラを想像するかもしれませんが、家庭用に小型の風力発電装置も販売されているほか、「マイクロ風車」といった微風で発電が行える風力発電装置も開発されており、常用自家発電設備としての活用シーンが広がっています。

  • ガスタービン発電装置

ガスタービン発電装置とは、燃料であるガスを燃焼させてタービンを回転させ、発電を行う常用自家発電設備です。ガスタービン発電装置は、コージェネレーションシステムとして、工場やホテル、病院などで採用されています。

  • 蒸気タービン発電装置

蒸気タービン発電装置は、蒸気のもつ熱エネルギーを利用してタービンを回転させ発電を行います。蒸気タービンの仕組みは、火力発電や原子力発電など幅広い用途に採用されています。

企業が自家発電設備を導入するメリット

ここからは、企業が自家発電設備を導入するメリットについてお伝えしていきます。

災害時のBCP(事業継続計画)対策として有効

BCP(事業継続計画)とは、地震や台風・大雨などの自然災害をはじめとした緊急事態が発生した際に、事業への損害を最小限にとどめ、事業を継続・早期復旧するために、企業があらかじめ決めておくべき計画を指します。

常用自家発電設備は、平時はもちろん停電時でも発電することができるため、BCP対策として有効です。

ピークカットに貢献できる

自家発電設備を導入することにより、ピークカットに貢献することが可能となります。ピークカットとは、1日のうち最も電気を使用する時間帯(ピーク時間帯)に自家発電設備で発電した電気を使うことで、電力会社からの電力購入量をカット(削減)することを指します。

ピークカットを行うことで、電気量料金の削減はもちろん基本料金の削減にもつながる場合があり、企業の固定費削減に役立ちます。

自家発電設備は「自家消費型太陽光発電」がオススメ

太陽光発電

自家発電設備には「自家消費型太陽光発電」がオススメです。ここでは、その理由について解説します。

環境経営に貢献できる

昨今は、企業にも環境への配慮が求められるようになってきています。自家消費型太陽光発電は、火力発電と比べてCO2(二酸化炭素)を排出しない再生可能エネルギーであるため、導入することで企業の環境経営にも役立てることができます。

具体的には、SDGsやSBTイニシアチブ(企業版2℃目標)、エコアクション21、温対法対策など、自家消費型太陽光発電の導入によって対応できるものは多岐にわたります。

導入価格が年々下がっている

太陽光発電といえば、「導入コストが高い」という印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、実は太陽光発電の導入コストは年々下がっています。2012年には42.1万円/kWだった太陽光発電のシステム費用が、2019年には26.6万円/kWまで下がっているデータが、経済産業省によってまとめられています。

導入コストは今後さらに下がっていくと考えられますので、よりお得に「常用自家発電設備」として自家消費型太陽光発電を導入することができるでしょう。

自家発電設備として「自家消費型太陽光発電」を導入する際の注意点

ここからは、自家発電設備として「自家消費型太陽光発電」を導入する際の注意点を解説していきます。

電気事業法などの法律を遵守する必要がある

自家発電設備として「自家消費型太陽光発電」を導入する場合、電気事業法が定める「電気工作物」として扱われるため、電気事業法で定められた保守点検(メンテナンス)を行う義務が生じます。

また、自家消費型太陽光発電以外の自家発電設備を導入する場合は、設備によって「消防法」、「火災予防条例」、「建築基準法」、「大気汚染防止法」といった法律を遵守する必要があります。

非常時(夜間・悪天候)に備えるなら蓄電池も導入する必要がある

自家消費型太陽光発電は、「常用自家発電設備」として停電時でも自力で発電を行えます。しかし、「太陽がでている時間帯のみ」という制約があるので、例えば夜間や悪天候時は発電を行うことができません。したがって、非常時に備えるために導入を検討する場合、蓄電池もあわせて導入する必要があります。

蓄電池を導入することで、太陽光発電によって発電できない悪天候時や夜間でも、蓄電池にためておいた電気を使うことができるようになり、非常時の電源としての効果が高まります。

自家発電設備まとめ

自家発電設備とは、自家発電を行うための発電能力を備えた設備のことを指し、電力会社からの電力供給状況に関係なく発電を行う「常用自家発電設備」と、電力供給がストップした時のみ稼働させる「非常用自家発電設備」の2種類があります。

「常用自家発電設備」には、自家消費型太陽光発電やガス発電(燃料電池システム)、風力発電装置などいくつかの種類が存在しますが、企業が導入するのであれば「自家消費型太陽光発電」がオススメです。

自家消費型太陽光発電は、非常用電源としてBCP対策になることに加えて、ピークカットに貢献し、電気料金の削減につながるといったメリットがあります。

さらに、火力発電と比べてCO2を排出しないことから環境経営への貢献も期待でき、導入コストも年々下がってきています。

近年、災害が増えてきている日本において、事業を継続するためのBCP対策として「自家発電設備」の導入は必要性を増してきています。この機会に「自家発電設備」の導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

年末年始休業期間のご案内

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
年末年始休業に関しまして、ご案内させて頂きます。

誠に勝手ながら、弊社では下記期間を年末年始休業とさせていただきます。
お客様にはご不便をお掛けいたしますが、予めご了承いただきますよう宜しくお願いいたします。

【年末年始休業期間】
2020年12月29日(火)~2021年1月3日(日)

【お問い合わせについて】
休業期間中にお寄せ頂いたお問い合わせに関しましては、1月4日(月)より順次対応させていただきます。今後とも株式会社エコスタイルを宜しくお願いいたします。

EPCとは?太陽光発電設置時にEPC事業者を選ぶポイントや事例も紹介

設計・調達・建設を意味する「EPC」についてご存知でしょうか。

「太陽光発電について調べているとEPCという用語をよく見るけど、意味がよくわからない」

と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

EPCは「設計・調達・建設」を意味します。

太陽光発電設備の導入の際は、EPCを一社で担えるEPC事業者に依頼することでメリットがある場合があります。

この記事では「EPC」について、

  • EPCの概要
  • EPC事業者に法人向け太陽光発電の設置を依頼するメリット
  • EPC事業者を選ぶポイント
  • エコスタイルがEPCを担当した自家消費型太陽光発電の事例

などを解説していきます。

EPCとは?設計・調達・建設を一貫してマネジメント

太陽光発電EPC

はじめに、EPCの概要について解説していきます。

EPCとは、E=設計(Engineering)、P=調達(Procurement)、C=建設(Construction)の頭文字をとった略称です。

工場や太陽光発電所などの設計・調達・建設を一貫した形で請け負う契約を指します。

設計・調達・建設の具体的な中身については、以下で解説していきます。

E=設計(Engineering)

「設計」は、依頼主のコンセプトや要望を基に、基本設計や企画、詳細設計などを立案していく工程となります。

基本設計の段階では、主に機能要件やプロセス設計などをまとめ、詳細設計では必要な設備や運転操作、保守・安全性などをまとめていくのが一般的です。

工場や倉庫などの法人施設の屋根に自家消費型の太陽光発電設備を設置する場合は、設置予定の施設の強度計算や設置する太陽光発電設備の設定・発電量シミュレーションなどが該当します。

P=調達(Procurement)

「調達」は、依頼主の要望や予算にあわせて、必要な設備や資材(ソーラーパネルやパワーコンディショナーなど)を選定・発注し、太陽光発電設備の建設予定場所に搬入する工程です。

C=建設(Construction)

「建設」は、実際に太陽光発電設備の建設・施工を意味します。

EPC事業者は施工の現場と工事スケジュールを管理し、太陽光発電設備を建設・施工します。

法人施設に設置する自家消費型太陽光発電の場合、施設の運営・稼働に影響がないように施工を進める必要があります。

大量の資材の納入場所や、納入業者・施工担当者の動線を考慮して、EPC事業者は太陽光発電設備を施工します。

EPC契約とは?

EPC契約とは、上記の設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含んだ建設工事の請負契約を指します。

EPC契約を結んで工事を請け負ったEPC事業者は、設計・調達・建設をおこない、太陽光発電所を発電できる状態で施主に引き渡します。

EPC事業者に法人向け太陽光発電の設置を依頼するメリット

ここでは、EPC事業者に法人向け太陽光発電の設置を依頼するメリットについてご紹介していきます。

なお、法人向け太陽光発電とは、自社工場や自社ビルでの使用を前提とした自家消費型太陽光発電と、売電収入を目的とした全量売電の産業用太陽光発電の2種類があります。この記事では、自家消費型太陽光発電を前提としてお話を進めていきます。

設置する施設の条件に応じた提案を受けやすいのがメリット

EPC契約で自家消費型太陽光発電を設置するメリットとして、設置条件にあわせて最適なプランニングの提案が期待できる点が挙げられます。

たとえば、施設の稼働時間・年間スケジュールの観点から、自家消費型太陽光発電設備の設置工事が可能な時期や日数が限られている場合もあります。

EPC契約を結んで法人向け太陽光発電の設置を依頼した場合、契約を結んだEPC事業者が設計・調達・建設の工程をマネジメントし、工程の一部を下請業者に任せる場合でも、元請けとなるEPC事業者が工程を管理します。

そのため、設置する施設の稼働条件やスケジュールに合わせた提案や施工が期待できます。

自家消費型太陽光発電設置のEPC事業者を選定するポイント

ここでは、EPC事業者を選ぶポイントについて解説していきます。

法人向け太陽光発電(自家消費型)の施工実績があるか

発電した電力を自家消費することを想定している場合、依頼を検討しているEPC事業者に、自家消費型太陽光発電設備の施工実績があるかどうかを確認しましょう。

自家消費型太陽光発電は、投資目的(固定価格買取制度を活用した売電目的)の太陽光発電と比較すると、設計や施工に求められる技術が異なります。

たとえば、自家消費型太陽光発電を設置する際は、「逆潮流」と呼ばれる現象を避ける必要があります。

逆潮流とは、自家発電設備で発電した電力が、送電事業者(電力会社など)の送配電網に、流れ込む状態を指します。

逆潮流は電力系統(送電・配電などのシステム)に予期せぬ負荷を与えるリスクがあり、電力会社との契約上避けなければいけません。

逆潮流のリスクを説明した画像

自家消費型太陽光発電は、施設の屋根や敷地内に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を施設内で消費する設置形態です。発電した電力で足りない分は、電力会社から購入することとなります。

しかし、何らかの理由で、太陽光発電設備で発電している電力量が施設の消費電力量を上回ってしまうと、前述の「逆潮流」が発生してしまいます。

自家消費型の太陽光発電システムには、逆潮流を防止する制御システムが組み込まれる場合が一般的ですが、この制御システムによって発電効率が変動する場合があります。

したがって、「単純に太陽光発電モジュールをたくさん敷き詰めて、たくさん発電すれば良い」というわけではありません。

施設の消費電力を踏まえて適切な枚数を算出し、全体のシステムを設計することが求められます。

強度計算や発電シミュレーションなどを示せるか

自家消費型太陽光発電の場合、施設の屋根に太陽光発電を設置するケースが多くなります。

したがって、設置を検討する建物の強度計算が必要となります。

建物(屋根)に太陽光発電システムを搭載するだけの強度があるか、また、設置後に強風が吹いても耐えられるかなどを、EPC事業者にチェックしてもらいましょう。

また、発電シミュレーションによって予想される発電量を示してもらい、建物の消費電力をどの程度カバーできるのか確認することも重要です。

これらのデータをスムーズに示せるEPC事業者を選ぶのが良いでしょう。

費用の詳細な内訳・見積もりを提示できるか

また、EPC事業者を選ぶときには、費用の詳細な内訳・見積もりを提示できるかどうかも重要です。

また、契約当初の見積書の金額が安価であっても、予期せぬトラブルによって追加の費用が発生する場合があります。

リスクを事前に説明し、追加請求が発生するケースを想定しているかどうか。

また双方にとって想定外のトラブル・追加請求が発生する場合も、問題の適切な解決策を提案できる信頼できる業者かどうかを、検討したほうがよいでしょう。

補助金等の適切な案内をしているか

自家消費型太陽光発電システムの導入時に、国や自治体からの補助金を活用できる場合があります。

補助金の活用することで、設置費用を抑え投資回収年数の短縮が期待できます。

設置を検討する法人の立場で、利用が検討できる補助金を案内し、申請にともなう事務手続きのサポートできる事業者が理想となります。

O&M(保守・管理)を含んだ提案があるか。

O&Mとは、太陽光発電における運転管理・保守管理(メンテナンス)のことを指します。

自家消費型太陽光発電は、改正FIT法や電気事業法によってメンテナンスが義務付けられており、違反すれば罰則もあります。

そのため、自家消費型太陽光発電の設置をEPC事業者に依頼するときは、設置後のO&Mを見据えた提案ができる業者を選定しましょう

エコスタイルによるEPC契約での自家消費型太陽光発電の設置事例

ここでは、株式会社エコスタイルによるEPC契約での設置事例をご紹介します。

スーパーマーケットへの太陽光発電の設置

株式会社カノーに設置した太陽光発電の事例

2020年6月、エコスタイルが関西電力からEPC契約を請け負う形で、大阪市内のスーパーマーケットに「自家消費型太陽光発電システム160.80kW/蓄電池62kWh」を設置しました。

このEPCによる自家消費型太陽光発電および蓄電池の設置によって、発電した電気を同店舗内で使用して電気代を削減できるだけでなく、年間CO2排出量の削減効果や、BCP(事業継続計画)における非常時(自然災害による停電など)の対策としても有効性が期待できます。

こちらの事例について詳しくは、以下のプレスリリース(pdf)をご覧ください。

エコスタイルが EPC
を手掛ける「太陽光発電オンサイトサービス」カノ―のスーパーマーケット店舗に導入決定~関西電力の太陽光発電×蓄電池を活用した実証実験に協働~

まとめ

設計・調達・建設を一貫して請け負うEPC契約は、工程ごとの連携がスムーズに行われることが期待できます。

特に法人が自家消費型太陽光発電設備を導入する場合、EPC事業者に依頼することで、施設の電力使用状況や稼働状況に応じて、最適な提案を受けられる場合があります。

株式会社エコスタイルでは、実際に多くの法人様に自家消費型太陽光発電を設置した実績があります。

お客様の施設の電力使用状況や、施設の立地、太陽光発電に期待されている効果をヒアリングさせていただき、最適な導入プランをご提案させていただきます。

発電予測による投資回収年数シミュレーションや、設置予定施設の強度計算もあわせてご提案しております。

まずはお気軽にお問い合わせください。

自家消費型太陽光発電にメンテナンスは必須。重要性と点検項目を解説

自家消費型太陽光発電

工場や倉庫の屋根に自家消費型太陽光発電システムを設置して自家発電を行った電気を使うことで、電気を買う費用を抑えたり、あるいはライフラインが緊急時に使えない場合でも電気を確保できる手段として利用したりする企業が増えています。
では、太陽光発電システムを設置した後のメンテナンスは必要なのでしょうか。また、設置後のメンテナンスのやりかたによっては、設備の寿命が延びたり、発電量が影響したりするのでしょうか。
今回は、自家消費型太陽光発電システムのメンテナンスの必要性と、メンテナンスをするにはどうするのかについて考えてみましょう。

太陽光発電はメンテナンスフリーではない

売電目的の太陽光発電システムでは、2017年4月から施行された「改正FIT法」によりメンテナンスが義務化されました。
また、一般社団法人日本電機工業会と一般社団法人太陽光発電協会により作成された「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(第二版)が公開(2019年)されています。

「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(第二版)によると、まず、太陽光発電システムは発電設備であり、設置・管理する責任者は発電設備の所有者であることを明記しています。
さらに、発電設備の所有者は電気事業法第39条または第56条に基づいて、所有する発電設備を、経済産業省令で定める技術基準に適合させる義務があるとしています。
そのため、技術基準に適合しない状態にならないように、維持しておく必要があるのです。
また、工場などの屋根に設置する自家消費型太陽光発電の場合、出力50kW以上の場合は電気事業法上の「事業用(自家用)電気工作物」となり、下記のような義務が発生します。

(1)経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務。(法第39条)
(2)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めて届け出る義務。(法第42条)
(3)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務。(法第43条)
(その太陽電池発電設備が高圧以下で連系する出力2,000kW未満の場合は、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て自家用電気工作物に関する保安管理業務を外部に委託することもできます。)
(4)その太陽電池発電設備が出力2,000kW以上の場合は、設置工事の30日前までに工事計画届出書を届け出る義務。(法第48条)
(5)その太陽電池発電設備が出力500kW以上2,000kW未満の場合は、使用の開始前に技術基準に適合することを自ら確認し、その結果を届け出る義務。(法第51条の2)

引用元:経済産業省「産業保安規制の業務内容>電力の安全>太陽電池発電設備」より

太陽光発電システムの定期的なメンテナンスは、条例や法律による義務であるのみならず下記のような観点からも重要であると考えられます。

定期的なメンテナンスが重要な理由

ではなぜ、太陽光発電システムの定期的なメンテナンスが必要でそれが重要であるのかを項目ごとに確認しましょう。

保守点検が義務化されている

上記に示したように、電気事業法第39条または第56条に基づいて、所有する発電設備を、経済産業省令で定める技術基準に適合される義務があります。
よって、それに適合させるために保守点検しなくてはなりません。
もし必要な補修をしないまま稼働を続けていると、「技術基準適合命令」により、経済産業省や地域の産業保安監督部の公開する情報サイトなどで公表される場合があります。
また、太陽光発電システムの状態が悪いと判断されると、稼働の停止を命じられることもあります。

発電効率を維持する

太陽光発電システムは、定期的なメンテナンスによって発電量の維持が期待できます。
太陽光発電システムに使用されている太陽光パネルは屋外で風雨にさらされているため、汚れが付着します。
また、飛来物がパネルを覆う場合や、鳥や小動物のフンで汚れることがあります。
トラブルを確認し、解決するためにも定期的なメンテナンスを心がける必要があります。

ソーラーパネルの劣化を確認し、良好な状態を維持する

ソーラーパネルや必要な電線は屋外に設置されているため、経年および風雪による劣化が進みます。
また、ソーラーパネル自体が破損するばかりでなく、設備を固定している部品の緩みや腐食などがおこる場合があります。
固定部品がひとつ欠落しているだけでも、長期使用の間に設備全体の歪み、土台の破損、やがてソーラーパネルの破損へと結びつく可能性があります。
安全性の面からも、発電効率の面からも定期的な確認と補修が必要です。

自家消費型太陽光発電の定期メンテナンスのチェック項目・チェック頻度

では、定期的なメンテナンスでは何をどのくらいの頻度で確認することが必要なのでしょうか。
一般社団法人日本電機工業会、および一般社団法人太陽光発電協会によって定められた「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(以下 保守点検ガイドライン)には、工場の屋根屋上に設置した「屋根設置」の太陽光発電システムの、定期点検の例が記載されています。

参考資料:太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン

工場などで高圧受電する太陽光発電は事業用(自家用)電気工作物。電気主任技術者の管理が必要

前提として、工場などの高圧受電する施設に太陽光発電システムの場合、
電気事業法における「事業用(自家用)電気工作物」になること、および電気主任技術者による管理が必要となります。

注記 1 工場など高圧・特別高圧で受電契約をしている構内にPV システムを設置した場合、発電規模に関係なく、事業用(自家用)電気工作物として扱う必要がある。
注記 2 事業用(自家用)電気工作物は,保安規程を定めて電気主任技術者が管理する義務があり、この附属書に掲げる点検項目と要領は保安規程における点検項目と点検頻度の一例である。

参考:太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」p45より引用

よって、電気主任技術者を選任の上、保安規定を定めて届け出る義務が発生します。

自家消費型太陽光発電(高圧受電・および発電量50kW以上)の主な点検項目

高圧受電する施設、および発電量が50kW以上の事業用(自家用)電気工作物の場合、定期点検の内容を定めた保安規定を作成・届け出る義務が生じます。
太陽光発電システム保守点検ガイドライン」のp59には、届け出に必要な点検項目と点検周期の目安が掲載されています。ここではその中から一部項目をご紹介いたします。

点検対象・点検箇所 点検項目 点検周期
太陽光電池アレイ(太陽電池モジュール) 表面・裏面の汚れ、破損、フレームの破損、変形など 表面の汚れは日常点検として週1回
裏面の汚れ、フレームの変形は6カ月に1回
太陽光電池アレイ(コネクタ・ケーブル) 破損、変形、汚損、腐食など 6カ月に1回
架台 ボルト・ナットの緩み、基礎の歪み、変形・腐食など 破損、変形、汚損、腐食など6カ月に1回
パワーコンディショナー 外箱の破損、配電・電線管の破損、防水処理、異常音、など 外箱・異常音・異臭の点検は週1回
配電・電線管などは6カ月に1回
参考:太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」 p59-p64)(上記表は「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」 p59-p64の定期点検例の一部です。実際の保安規定作成・および定期点検の際は電気主任技術者への相談の元、太陽光発電システム保守点検ガイドラインをご確認ください

上記に記載した以外にも、接続箱、集電箱、電力量計、漏電遮断器といった点検対象で、点検項目と点検周期が掲載されています。点検項目の多くは目視ですが、パワーコンディショナをはじめとした電子部品が含まれる点検箇所では、測定が必要とされています。
また、点検周期も、週に1回程度の日常点検から、月次~年次の定期点検まで、項目によって周期が異なっています。
上記ガイドラインを一読することで、導入後の点検内容がイメージできるのではないでしょうか。

メンテナンスは誰に頼むべきか確認するポイント

定期的に太陽光発電システムの点検を行う必要がありますが、では誰が行うのが適切でしょうか。

プロに依頼する

ソーラーパネルの破損や汚れ、周辺環境の保全などは設備所有者や会社の従業員でも行えるでしょう。もちろん、個人でも破損箇所がないか、汚れてはいないかなど、目に見える範囲での点検をすることは大切です。
また、パワーコンディショナーなど操作をする機器では、異音や異臭がしていないか、熱を発していないかなどの確認も行えます。
しかし、自己判断で『大丈夫』と決めつけたり、修理をしたりするのは、危険です。単純だと思われる周辺の草刈りだとしても、間違って接続線や電線を切断する可能性もあります。必ず専門知識のあるプロに依頼するようにしましょう。

また、もし日常の点検の中で不安な箇所を発見したら、定期点検以外でも専門企業の担当者に連絡を入れ、確認をしてもらいましょう。もちろん、専門家に依頼をすると費用が発生しますが、この費用は太陽光発電システムを活用するための必要経費だと考え、用意しておくようにしましょう。

自家消費型太陽光発電のメンテナンスを依頼する業者の選び方

自家消費型太陽光発電のメンテナンスを依頼する際、どのような業者を選定するべきでしょうか。
業者を選ぶときのポイントを確認しておきましょう。
確認したい項目は以下の通りです。

メンテナンス費用
複数の企業がメンテナンスに対応しています。サービス内容と価格を比べ、選びましょう。総合比較サイトなどの評判を確認することもヒントになります。
しかし、当然ながら設置場所の条件や規模によって値段は変化しますので、あくまで目安として、実際に見積もりを出して比較検討するようにしましょう。
対応の良さ
太陽光発電システムは長期にわたり利用するものです。メンテナンスをしていても、予期せぬ飛来物による被害が発生する場合があります。
そのような事態を想定し、迅速に対応できる業者を選定しましょう。
点検後の報告とアドバイス
定期的な点検は滞りなくしてくれる企業でも、その点検の結果がどうであったのか、どのような変化が見られたのか、なにを改善すべきで、どのように対応したのかなど、点検後の報告を丁寧にわかりやすく行ってくれる業者であることが重要です。
また、「今後、どれくらいの時期にはどのようなことに対応する必要がでてくると考えられる」といったアドバイスをしてくれる企業であれば、より安心して任せることができるでしょう。
太陽光発電システムの運用に関する相談対応
太陽光発電システムをどのように活用すれば、消費電力にかかる費用が抑えられるのかといった運用方法についても相談にのってくれる体制のある業者を選ぶようにしましょう。

設置時にモニタリングシステムを導入するのも有効

太陽光発電システムのメンテナンスを専門の企業に依頼するのと並行して、モニタリングシステムの導入も検討しましょう。

モニタリングシステムとは、ソーラーパネルの各ストリング電流と電圧を分単位で計測することで、発電状況を遠隔で監視できるシステムです。
システムによっては感知した情報を、インターネットを通じて警報メールとして受け取れるものもあります。

このようなシステムを設置しておくことで、早期に異常を発見でき、トラブルを回避することで修理費用の削減に繋げることにもなります。

まとめ

工場や倉庫などに自家消費型太陽光発電システムを設置する場合、設置した太陽光発電システムの定期的な点検は避けられません。
設置者として定期点検が義務化されているだけではなく、定期的な点検によって発電量の低下やトラブルを未然に防ぐことが期待できます。
導入後のメンテナンスについても事前に相談し、不安点を解決できる業者を選びましょう。

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